身元保証人とは、法令上の用語ではないため、どのように定義づけるか難しいところですが、おおむね、以下のような役割を果たす方と言えます。
すなわち、高齢者などが病院や老人ホームなどの施設に入院・入所する際の、医療費や施設利用料といった債務に関する保証人、緊急連絡先を引き受けてくれる人、退院・退所時に本人の身柄を引き受けてくれる人などです。
これまでは、家族や親族が身元保証人となるのが一般的でしたが、現代では、家族や親族で頼れる人がおらず、身元保証人を依頼できる人が見つからない方々も少なくありません。
以下では、老人ホームへの入居を希望しているものの身元保証人が見つからない場合の対処法をご紹介します。
まず、本人の判断能力が低下している場合には、成年後見制度を利用する方法が考えられます。
成年後見制度とは、認知症や精神障がいをお持ちの方などを保護するため、本人に代わって財産管理及び身上監護を行う成年後見人を選任する制度です。
もっとも、施設側が求める身元保証人の役割が、本人が負担する施設利用料などの債務の保証人である場合には、注意が必要です。
成年後見人が親族ではない専門職などの第三者である場合には、成年後見人が本人の債務についての保証人になることは適切ではありません。
もし、成年後見人が保証人として本人に代わって債務を支払った場合には、成年後見人が本人に対して支払った分を請求できる権利（求償権）をもつことになり、結局、成年後見人が支払を請求する相手方＝本人の代理人である成年後見人自身となり、請求する者と支払を決める者が同一となり、利害が対立してしまう関係（利益相反の関係）に立ってしまうからです。
これに対して家族や親族が成年後見人となっている場合、その方は家族や親族としての立場で身元保証人となる余地もあるかと思われます。
ただし、施設が求めている身元保証人の役割が、緊急連絡先や身元引受の対応を果たすことのみであれば、第三者が成年後見人となった場合でも、成年後見人として施設との連絡や料金の支払いをきちんと行うことで、身元保証人を用意せずとも入居が認められるケースもあるようです。
そのような施設であれば、身元保証人が見つからなくても、成年後見制度を利用することで、施設への入居が可能となる場合もあります。
なお、施設側でも、身元保証人が用意できない場合に、本人などに対して、成年後見制度の利用を促すことも少なくないようです。
次に、身元保証会社を利用する方法です。
前記のように第三者である成年後見人が債務の保証人としての役割も求められているため身元保証人を兼ねることが適切ではない場合・本人の判断能力が低下しておらず、そもそも成年後見制度を利用できない場合・家族や親族が成年後見人になっているものの施設側から別途身元保証人を付けるよう求められた場合などに考えられる方法です。
近年、身元保証人に対するニーズが増加したことに伴い、身元保証を引き受ける法人が増えています。
この法人には、株式会社・一般社団法人・NPO法人などさまざまなものが存在しています。
身元保証会社が提供するサービスは、身元保証をはじめ、生活に関する手続きの代行、費用の連帯保証、緊急時の連絡窓口、通院・入院の同行、葬儀・納骨といった死後の事務の受任など多岐にわたり、利用者のニーズに対応しています。
なお、身元保証会社を利用する際には、そのサービスの内容に納得したうえで利用を開始することが重要です。
特に、費用面の検討は重要かと思われます。
身元保証会社に対して支払う費用は、提供するサービスの内容や種類によって異なるのが通常です。
また、葬儀や納骨といった死後の手続きに充てるため、預託金の支払いを求められる場合もあります。
身元保証会社の利用時にはさまざまな費用がかかることから、契約内容について本人がじゅうぶん納得できることが重要です。もし、ひとりで対応するのが困難と思われる場合には、契約時に信頼の置ける第三者に同席してもらうことが望ましいといえます。
こちらでは、老人ホームへの入居を希望しているものの、身元保証人が見つからない場合の対処法をご紹介しました。
身元保証会社の利用をお考えになる方は多い一方で、サービスの内容や保証条項など複雑な部分も多く、お悩みになる方も少なくありません。
笹岡行政書士事務所は、身元保証に関してお困りの方に丁寧に対応し、ご要望に真摯にお応えしています。
身元保証に関してお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
お待ちしております。